名古屋市の人口は1997年以降、増加傾向にあるそうです。
その理由として考えられているのは、トヨタ自動車を中心とする製造業の職業人口が増えていることと関係しているとされています。ところが興味深いことに、都心部となる中区の増加率が高いのです。名古屋市の都心部にはサービス業の人が、郊外には製造業に携わる人が多く住むというデータもあります。けれども、製造業に関わる人口流入に伴う形で、都心部への人口も増加傾向にあります。
都心部と郊外に住むそれぞれのメリットとは
一般的には独身者は都心部に、ファミリー層は郊外に住む傾向が見られるとされています。けれどもこれは一概には言えません。これはあらゆる世代において、都心部と郊外との利点を考慮した上で住みやすいと判断する方に住むことになるからです。
面白いのは、都心部と郊外との生活におけるメリットとデメリットは、双方が相反する関係にあるということです。
例えば都心部の賃貸物件は家賃が高く狭いものですが、郊外は逆に家賃は安く広いものとなります。逆に公共交通機関においては、都心部は便利で郊外は不便となるわけです。そこで、そのメリットがデメリットをカバーしてなお魅力あるものとなる時に、そちらに住むことになるわけです。
都心部のメリットは何と言っても交通の便の良さと商業施設が充実していることです。コンビニやファミレスといったお店も多く、病院にも不便ありません。とにかく生活において必要とするものはすぐ近くにあることです。
一方で郊外の場合は緑が多く空気が綺麗なことです。都心部が便利であるならば、郊外の生活にはゆとりがあるということです。近年では、老後の生活における便利さを考慮して、都心部への郊外からの移転というケースも増えています。
仕事をする面で考えてみる
仕事の面から見てみると、都心部は当然ながら多くの仕事が提供されています。そのために通勤に時間がかからずに済むことになります。一方で郊外の場合には都心部と比べると求人は少ないので、都心部の会社に通うことになります。そのために通勤に時間がかかることになります。
都心部に住むということは、家賃や物価の高さはその通勤時間をお金で買うというように置き換えることもできます。仕事が遅くなってもタクシー代もそれほどかけずに帰ることができますし、万が一震災などで交通機関が止まっても、帰宅することも可能となります。
賃貸物件の違いとは
都心部の賃貸物件には、デザイナーズマンションのようなおしゃれな物件が多くあります。設備も充実しており、便利に生活できるものが多いわけです。けれども家賃は高く、部屋は狭い傾向があります。郊外の場合には家賃や安く、また、広い部屋を借りることができるのでゆとりある生活を送ることができます。
独身者の場合には特に、生活面での利便性の高さを優先させる傾向が見られます。家賃が高く、また部屋が狭くなったとしても、仕事を中心として何かと便利な都心での生活を求める動きが多いということです。これは便利さをお金で買うという感覚にもつながるものかもしれません。その結果、豊かな生活を満喫することにつながるというわけです。さらに結婚してからも、子育ての環境なども充実していることから、そのまま都心部での生活を続ける人は増えています。
国勢調査によると、実際に平成7年以降は名古屋では都心部の人口が増えていることがわかります。地下の下落やライフスタイルの変化、また都心部での再開発による住環境の整備が背景にあると考えられています。郊外と比べると都心部の変化が、住む人の意識を変えていると言うこともできます。また、そのような人口の流入を受けて、さらに都心部での生活を充実させるような開発へとつながっていくことになるわけです。