住まいにはモノをしまっておくための収納が数多くあります。設置する場所や収納目的に応じてかなりの種類があるので、それぞれの特徴や役割を把握して上手く活用すると便利です。
クローゼット
洋室に一般的に設置されるのが、このクローゼットです。奥行きは服の幅に合わせたものが多く、扉を開ければ一目で中の状態を把握できるデザインとなります。
ワンルームのような狭い部屋にも、それなりのスペースで確保されるものとなります。主に衣類を中心として雑貨など小物を収納することを想定しています。内部は棚板やハンガーパイプなどが設置されています。間口は扉の幅に合わせるので、ある程度はサイズの種類は決まってきます。
特徴としては奥行きが服の幅に合わせたものとなるので、無駄なスペースが生まれにくいことが挙げられます。また、内部に仕切りが無いタイプのものは衣装ケースなどを利用することで自由度の高い活用方法を考えることができます。
ウォークインクローゼット
その名の通り、内部を歩くことができるクローゼットのことです。小部屋のような形をしています。真ん中を歩いて両サイドに既製品の収納棚を設置しています。
特徴としては、間口を広く取る必要が無いので、通常のクローゼットのような幅の広い扉が不要となります。そのために、部屋の壁を広く確保することができます。内部の広い空間のおかげでカビが発生しにくくなっています。また、中で着替えることもできます。
ウォークスルークローゼット
ウォークインクローゼットに出入り口が2つあるタイプの収納部屋です。その2つの出入り口を使って通り抜けることができるので、その設置場所に工夫することができるものとなります。
基本は寝室に面したものとなりますが、欧米式に洗面所から浴室へと通り抜けできる設計とするケースは多いものです。あるいはキッチンなどへ出る通り道に設置する場合もあります。また、夫婦の寝室を別にして、その間に設置することで収納を共有するケースもあります。洗面所へ通り抜けできるものであれば、朝の身支度がしやすいものとなります。水回りに隣接するものは湿気対策も必要になります。生活動線を確保した収納となるのが特徴となります。
押入れ
伝統的な日本家屋で昔から設置されている収納スペースです。現在でも和室のある家には設置されています。
サイズはほぼ決まっているのが特徴です。標準的な広さは間口が一間、つまり畳と同じサイズとなっています。三方を壁で囲まれていて、襖で仕切られる形となります。中板で上下に仕切られていて、上部に寝具を収納するように設計されています。そのために奥行きがあることが特徴となります。下の広いスペースは、家具を置いたり衣類や大きめな家電など収納することができます。
シューズボックス
玄関に設置する、いわゆる下駄箱です。最も一般的な靴の収納となります。効率的に靴を収納できるので、設置スペースをそれほど必要としないものになります。また、作り付けだけではなく、追加で購入して空いたスペースに置くこともできるものです。
保有する靴の量に応じて増やすことができるのが特徴となります。傘立てやブーツを収納するスペースも用意されたものもありますが、それほどの広さは確保されてはいないものです。ワンルームのような限られた空間では多く設置されています。
シューズWIC
ウォークインクローゼットのシューズボックス版です。玄関に設置されていて、靴のまま内部に入ることができます。中には靴の他に、アウトドア用品などを収納できるようになっています。買い物用のカートやベビーカーなど、玄関に置いておくと邪魔になる大きめなものを入れておくこともできるので便利です。
土がついたものを室内に入れることがないのが特徴となります。あるいは花粉のついた服をここにしまっておくことで、室内に花粉を持ち込むことが無くなります。また、扉を閉めることで玄関をすっきりと見せることができます。ただし土間続きとなるので、このシューズWICに入るための靴やサンダルなどが必要になります。
トランクルーム
室外に設置される収納です。マンションの共用部分や地下に設置されることもありますが、玄関脇に用意されるケースが増えているので便利です。主にアウトドアで使うものをしまっておくことが目的となります。例えばゴルフバッグやスキー用品など、大きくかさばるものをしまっておくことができます。
パントリー
キッチンに隣接された食品庫です。飲料や乾物、缶詰や粉物に常温で保存できる野菜などを収納できます。他にも調理器具なども収納しておけるので、キッチンがすっきりと片付くことになります。
食品の買い溜めができるのが特徴となります。また災害時に備えての備蓄を確保しておくスペースとしても利用できます。数日分の飲食料となると量も多くなるので便利です。
床下収納
キッチンや洗面室の床下の収納庫です。キッチンなら保存食を、洗面室なら掃除用品などを収納します。ビンなどが入る深型と浅型があります。
少しの間口でも、スライド式でたっぷり収納できるのが特徴となります。また、床下の点検にも活用されます。室内に収納スペースを確保する必要がないことと、人目に触れずに収納できるのが利点です。ただし間口が狭いので、適時中を管理する必要はあります。
納戸
建築基準法では、採光が確保されないなどの理由によって居室と認められない空間のことです。あくまでも収納部屋として用意されるものですが、実際には書斎や趣味の部屋として使われることも多いものです。
サービスルームやDENと表記されることもあります。内装は他の部屋と変わらないものとなるので、収納以外の用途として使われることが多いのが特徴となります。
階段下収納
階段の下のスペースを有効利用した収納です。階段の形状に合わせているので変形した形となっています。収納目的としては、掃除用品や普段使わない荷物、大きめな家電などが挙げられます。
階段の幅に合わせているので、割と奥行きがあるのが特徴です。そのために、奥には普段使わないようなものを、手前には出し入れが多い道具などをしまうと便利です。あるいは災害時に備えての備蓄用の飲料水や、季節物の暖房器具などを収納することにも使えます。
屋根裏収納
屋根裏のスペースを利用して設けた収納スペースです。建築基準法の制限内で作られるために、天井が低くなります。納戸のように広いスペースを確保できるので、書斎などに利用されることもあります。
季節ごとに不要となる衣類などをしまっておくのに便利です。ただし、階段を使って昇り降りするので、重い荷物を置いておくのは避けるのが無難です。
このように様々なタイプの収納が用意されている中で、どう活用するかも大切な課題です。収納計画を立てて効率良くモノをしまうことが大事です。ポイントはしまっておくだけではなく、使いやすくすることです。
例えば部屋の掃除をする掃除機を取り出すのに、スペースが空いているからとシューズWICにしまっておくと、毎回出し入れするのが面倒になります。また季節物の洋服であっても、あまりに奥にしまい込んでしまうと出し入れが不便になります。
適材適所を心掛けて収納計画を立てることが必要となります。衣類は極力寝室に、掃除道具は使う場所に近いところにと、大きさや量も考慮しつつ優先的に置く場所を決めていくことが大切です。また、見せる収納とするのか見せないようにするのかも、ひとつの要素となります。